旅行業の登録を受けるには、種別を決めたうえで、「旅行業務取扱管理者」と「保証金」の2つを準備する必要があります。どちらも準備に時間がかかり、順番を間違えると開業が大きく遅れます。この記事では、2つの準備のポイントと、設立直後の会社が気をつけたい基準資産額の考え方を整理します。

準備1:旅行業務取扱管理者

旅行業者は、営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません。管理者は、取引条件の説明や契約書面の交付など、旅行業務を適正に行うための管理・監督を担う役割です。

資格の種類 管理者になれる営業所
総合旅行業務取扱管理者 海外旅行・国内旅行を扱う営業所
国内旅行業務取扱管理者 国内旅行のみを扱う営業所
地域限定旅行業務取扱管理者 定められた区域内の旅行のみを扱う営業所

管理者の試験は年に1回です。社内に資格者がいない場合は、試験の時期から逆算して準備するか、資格者を採用する必要があります。海外旅行を扱う予定なのに国内の資格者しかいない、というケースもあるため、扱う旅行の範囲と資格の種類を必ず照らし合わせてください。また、管理者は原則としてその営業所に常勤する必要があり、名義だけを借りることはできません。

準備2:営業保証金か、協会への加入か

お客様を守るための保証金は、次の2つの方法のどちらかで準備します。

方法 内容 特徴
営業保証金を供託する 法務局に保証金を預ける まとまった資金が必要。協会の入会審査は不要
旅行業協会に加入する 営業保証金の5分の1の分担金を協会に納める 初期費用を抑えられる。入会金・年会費がかかり、入会審査がある

登録の通知を受けた後、定められた期限内に供託や納付を済ませ、届け出なければ営業を始められません。協会に加入する場合は、入会の手続きにも時間がかかるため、登録申請と並行して進めるのが一般的です。

基準資産額の計算で注意したいこと

基準資産額は、決算書の「純資産」そのものではありません。資産の合計から負債を差し引くだけでなく、創業費などの繰延資産、営業権、回収が難しい債権などに加え、納めるべき営業保証金(または分担金)の額も差し引いて計算します。

たとえば、第3種で協会に加入する場合、基準資産額300万円に分担金60万円を加えた額以上の資産が必要になる考え方です。新しく会社を作って登録する場合は、設立時の資本金をこの計算に合う額にしておくと、開業までがスムーズです。設立費用を繰延資産に計上していると、その分も差し引かれるため注意が必要です。

開業までの段取り

  1. 扱う旅行の範囲から種別を決める
  2. 管理者を確保する(資格の種類を確認)
  3. 基準資産額を満たす資本金で会社を設立する
  4. 営業所を確保し、登録申請と協会への入会申込みを並行して進める
  5. 登録の通知後、供託または分担金の納付を済ませて届け出る
  6. 旅行業約款や料金表の掲示などを整えて営業開始

まとめ

旅行業の開業は、管理者の確保と保証金の準備が2大ポイントです。特に設立直後の会社は、基準資産額の計算に保証金の額も含まれる点を踏まえて、資本金を決めることが大切です。行政書士法人SUNでは、資本金の設計を含めた会社設立から登録申請まで、まとめてお手伝いしています。

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